海の生きものたちを描いた大きな大きな壁画に、
みんなでサンゴを描き加えていく。

Date:ライブペイント 2025年5月12日~25日
   ワークショップ 2025年6月1日、15日
Client:株式会社海遊館
Place:海遊館西はとば
Agency:株式会社 アド近鉄
Paints:ターナー色彩株式会社
Artist :HOKUTO TANEICHI

フフフなウォールアート 
~いのちがめぐる、色とりどりのサンゴ礁~

2025年、海遊館35周年を記念して、大阪湾を望む「海遊館西はとば」防潮堤に壮大なスケールのウォールアートが誕生しました。
プロのアーティストと来場者がともに描くこのプロジェクトは、笑顔と命のつながりをテーマにした、開かれたアート体験。
海と陸を隔てる壁が、いま、人と自然をつなぐ“架け橋”として生まれ変わりました。

海遊館と海をつなぐ、命の物語

プロジェクトの第一章は、アーティストHOKUTO TANEICHIさんによる壁画制作。
2025年5月12日から25日にかけて描かれたのは、海遊館でおなじみの生きものたちが大海原に旅立つ、ダイナミックで物語性あふれる風景です。

約14メートルに及ぶ巨大な壁面に、ひと筆ごとに命が吹き込まれ、訪れた人々はその過程を間近で見守りました。
ただの「壁」だった防潮堤が、自然の息吹を宿すキャンバスとなり、人々を惹きつける場所へと変わっていきました。

HOKUTO TANEICHI

壁画制作

サンゴ礁を描こう!

お絵描きワークショップ

600人と描いた、色とりどりのサンゴ礁

そして迎えた第二章は、来場者との共創。
6月1日と15日には、来場者参加型のワークショップを実施。
子ども連れのご家族、カップル、友人同士、海外からの観光客など、のべ約600人が筆を手に取り、自分だけのサンゴを壁に描きました。

肩車をして高い場所に手を伸ばす子どもたち、笑いながら何度も列に並び直す親子、暑さのなか夢中で筆を動かす友人同士…。
参加者の一筆一筆が重なり合い、1日に描かれたサンゴの上に15日にさらに色が加えられていくことで、命のリレーのような深みある絵になっていきました。

ワークショップのたびに表情を変えていく壁画は、まるで生きているかのよう。
色と想いが重なることで、壁はただの背景ではなく、「人と自然のつながり」を体感できる場となりました。

“未完成”だからこそ、生きている

このウォールアートは、完成して終わりではなく、描き続けられることで命をつなぎ続ける“未完成のアート”とも言えるかもしれません。 

描いたあとに風で剥がれ落ちる部分も、そこに再び誰かが描き足していくことで、自然と人がつくるアートの循環が生まれていく
—— そんな仕組みが、これから少しずつ育まれていくことを願っています。

カラフルな海の生き物を描いた壁の前にグループの人々が並んでいる写真

まちに広がる、“フフフ”の風景

こうして描かれたウォールアートは、今も「海遊館西はとば」防潮堤で、訪れる人をやさしく迎えています。
そこには、プロのアーティストが描いた壮大な構図と、600人分の“フフフ”が重なり合い、唯一無二のアートが広がっています。


海と陸を隔てる防潮堤が、いまや人と海、人と人をつなぐ“架け橋”のような存在に。
笑顔と色彩が詰まったこの作品が、訪れる人の心をふっとあたため、“フフフ”と笑みがこぼれる瞬間が、これからもまちの中に広がっていくことを願っています。

海の生きもののイラストと文字が描かれたポスター。メインは青いクジラのイラストと、赤や緑のサンゴのイラスト、子どもたちが海を楽しむシーンと情報が書かれている。

【アートの仕掛け:命のリズムを描く、もうひとつのメッセージ】

ワークショップでは、HOKUTO TANEICHIさんが描いた壁画の上に、参加者が蛍光塗料を使って色鮮やかなサンゴを描き加えました。
TANEICHIさんによるベースの壁画部分には、色あせを防ぐためのUVコーティングが施されていますが、ワークショップで描かれた蛍光塗料のサンゴ部分には、あえてコーティングをしていません。
そのため、時間とともに色が薄れ、白っぽく変化していくようにデザインされています。
これはサンゴの白化現象をモチーフにした仕掛けであり、「サンゴが命を終える過程や、海洋環境の変化を考えるきっかけになってほしい」という願いが込められています。
また、白化した部分に新しい色を重ねることで“再生”を体験できるよう、未来に開かれたアートとしての可能性も秘めています。

海遊館35周年公式サイト : https://www.kaiyukan.com/35th_anniversary/