役目を終えた家具たちをアートで再生させ、まちを彩る。

IKEBUKURO LIVING LOOP / 無印良品

Date:2023年10月22日、29日
Client:IKEBUKURO LIVING LOOP, 無印良品
Place:池袋東口グリーン大通り
Paints:ターナー色彩株式会社
Artists :22日
AI KUWAHARA, 独園, pomu, ミヤゾエマヤ
  29日
中坪 晴希, HOKUTO TANEICHI, みうらさな, 山形 和宏

IKEBUKURO LIVING LOOP 2023

ファニチャーアートワークショップ
– 誰かの育んだ時間が受け継がれていくアート –

秋のまちに広がった、色と手のぬくもり

秋の気配が深まりはじめた10月、池袋のまちなかに、色とりどりの風景が広がりました。
役目を終えた家具たちに、アートで新たな息吹を与える。
子どもや大人が混ざって自由に家具たちに彩りを加え、 そしてアーティストが公開制作で作品を完成させる、そんな2日間のアートワークショップが開催されました。

“もったいない”を、“かっこいい”に変える挑戦

無印良品では、家具の月額レンタルサービスを通じて、「良い家具は人から人へと受け継がれていくもの」という考えのもと、使い終えた家具を再び次の使い手へ届ける取り組みを行っています。
ただその中には、使用に問題はないものの、傷や反りなどでお客様に届けられず、やむなく処分される家具も存在します。

そんな家具たちに、もう一度光を当てることはできないか?
このプロジェクトは、「もったいない」を“かっこいい”に変える取り組みとして、
無印良品・IKEBUKURO LIVING LOOP・STUDIO201の3者が共同で実施しました。

色づく家具たち。手から手へ渡る創造のバトン

2日間で約50名が参加。
子どもたちが無心で描く姿、親子で筆を取り合う姿、大人がふと夢中になる瞬間——
それぞれの手が重なり、家具たちは少しずつ色づき、新しい表情を帯びていきます。

そして次にバトンを受け取るのは、8人のアーティストたち。
参加者が描いた色と線を生かしながら、公開制作で家具を完成させていきます。
自由な発想と手のぬくもりに、プロならではの感性と技術が重なり、家具はもともとの形を残しながらも、新しい命が吹き込まれたアートとして蘇っていきました。

ひとつとして同じじゃない、関わり方の数だけあるアート

関わり方は一つではありません。
参加者だけで最初から最後まで仕上げた作品もあれば、アーティストのみで完成させた作品も。
また、参加者が彩った家具にアーティストが仕上げを重ねるなど、そのアプローチは多様でした。
誰がどこに手を加えたのか——その重なりが、そのまま作品の奥行きや温かさとなって現れていました。

まちなかに息づく“つながりのかたち”

今回のプロジェクトで生まれ変わった家具は、合計10台。
こうして完成した家具たちは、2023年11月に開催されたスペシャルマーケットで実際に使われた後、まちの各所に点在し、「まちなかリビング」の一部として新たな時間を紡いでいます。

暮らしのなかで一度役目を終えた家具が、たくさんの手と想いによって新しい命を得て、また誰かの時間に寄り添っていく。
その背景には、「捨てる」ではなく「受け継ぐ」という、優しく力強いまちづくりの思想が息づいています。

ふと街で見かけたとき、そこにあなたの手が残した色や形があるかもしれません。
それはきっと、静かだけれど誇らしい、“つながり”のしるしです。